たたかわないダイエット/丸元淑生
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どうしてもダイエットというと食欲との「戦い」、甘いものの誘惑との「戦い」、運動しなければと思いつつ怠惰な生活を送ることとの「戦い」を前提に考えてしまう。
けれどもいつも思ってはいたのだ。
たとえば、時間をかけてゆっくりよく噛んで食べて満腹感を得ましょうと言われても、実際には満腹であっても食べ続ける。
しかもそれでお腹をこわすこともなく、しっかりカロリーは取り込んでどんどん太っていく。
満腹中枢が狂っているとしか思えない身体になっているわけだ。
特に私の場合は精神的なストレスが強かった時期に、異常なほど食欲に支配されていた。
夕食を食べたあとに、翌日以降の朝食用に買っていたパンを三日分くらいぺろりと食べてしまう。
それまで20年近く、肥満ではあったけれども高値安定していた体重が1ヶ月で10キロも太り、クローゼットの中のスカートやGパンがすべてはけなくなってしまった。
お風呂に入ってしゃがもうとすると膝が痛い。
さすがにこれはまずいだろうと心底自覚しないと、自分の行動は変えられない。
それでも食欲は抑えられない。
この本では、食欲は脳からの指令なので意志の力で抑えられるものではないと説いている。
言われてみれば確かにそうなのだ。
我慢すればするほど欲求は大きくなり、たがが外れたときの反動が大きい。
ならばどうすればいいのか。
脳の指令には逆らわずに、つまり戦わずに狂った機能を正常に戻すことを考えなくては。
ここで、「食べる」という意味をじっくり考えなくてはいけない。
「食べる」ことのいちばん根本は「生きる」ためのエネルギーを取り入れる行為。
他の生き物の生命を自分の生命力として取り入れること。
となると、生きるために必要なエネルギー(栄養素)が、本当に取り入れられているかを点検すること。
カロリーは摂り過ぎ。
でも必要な栄養素が足りていなければ、板が一枚短い桶のように、食べても食べても短い板から水が流れ出て、決して桶のふちまでいっぱいになることはない。
だからいつまでたっても「足りなくて」、満足感が得られないまま更にカロリーだけは摂り過ぎていく。
保健師学校で住民の皆さんに教材までつくって力説していたはずのことが、本当に自分にはわかっていなかった。
今、私に必要なことは「摂取カロリーを減らす(食欲と戦う)」ことではなくて、欠けた短い桶の板を他の板と同じ高さに修復してやることなのだ。
そのための方法論が、父と娘との会話形式で実にわかりやすく展開されていく。
実はこの本を読み始めてから、それまで使っていた1食置き換えダイエットをやめてみた。
というのも、最初は劇的に効果が見えたこの方法も、期間が長くなると効果が見えづらくなってくること、食欲に負けて普通食を摂るだけで、過食でもないのにリバウンドが激しくなることなどがあり、そろそろ限界を感じていた時期でもあったから。
この本の通りにはいかなくても、要点を抑えながらなるべく理想に近づくように食事の内容を工夫していくと、まずうそのように甘いお菓子への欲求が消えた。
もちろん、時々の楽しみには食べるけれども、少なくとも満腹なのにスイーツが欲しくて欲しくて、その欲求に負けて甘いものを食べることがなくなった。
少しづつだけれども、狂った機能が正常に向かって調整されつつあるのかな、と思っている。
あとは、ゆっくりでいいから面倒くさがらずに料理も覚えていかなくてはならないと思う。
親が共働きだったにもかかわらず、結構うちの母は過保護だったのだろう。
私は子どもの好きな手抜き料理しか出来ない。
この際だから、ちゃんとした手作りの家庭料理のレパートリーを増やすべきだろう。
すべては「戦う」ためにではなく、「楽しむ」ために。
一年後の私の姿が、少し楽しみに出来るような気になってきた。
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