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2009年5月

2009年5月25日 (月)

新型インフルエンザ個人的まとめ

どうやら関西の感染ピークも山を越えたようです。

いちのせは医師じゃないし、ウイルス学の先生でもないし、保健師といっても公衆衛生のプロかと問われればちょっとあやしい。
そんないちのせが、担当者としてここ2年勉強したり、いろいろな人の意見を見たり聞いたりして、今回の新型インフルエンザについて思うところをまとめてみます。
あくまでいちのせの個人的な意見なのと、専門家にしかわからないようなことはかなり適当に噛み砕きますんで、つっこみはなしにしといてください。

今回の新型インフルエンザ(という言い方をするのは、実は日本だけです。豚とか鳥由来の、というか、パンデミックつまりは世界的な流行か、という分類の仕方をよそではするんですね)は、誰も疑うことのなかった鳥由来ではなく、豚由来のインフルエンザでした。
H1N1という種類のウイルスが原因。
強毒性か、弱毒性か、とよく言われますが、これも実は重病になるかならないかで分類されているわけではなく、ウイルスの種類で分けられているそうです。
(補足:これは明らかに間違いでした!ウイルスの種類で分類されるのは、高病原性か低病原性かです。強毒性、弱毒性というのは、とりつきやすい粘膜の位置で決まってくるようです。強毒性だと肺や内臓までウイルスが入っていきやすい、弱毒性だと入り口付近の鼻や喉の粘膜止まりです)
H1N1は低病原性に分類されるウイルスで、今のところ弱毒性なので、重症になる人はあまり多くありません。
本来こいつが原因になるだろうと言われていたのはH5N1という種類のウイルス。実は今でもエジプトでは鳥からヒトへ感染が起こっています。
しかし、こいつはあんまり重症になりすぎて、ヒトからヒトへ感染するほどに進化しづらいらしい。なんと致死率60%というとんでもないウイルスなので、こいつがヒトからヒトに簡単に感染するようになったら大変だ・・・と一部では(補足:どちらかといえば日本以外ではというべきかもしれません)10年も前から警戒されていたわけです。

H1N1のウイルスというのは、毎年流行しているAソ連型と同じです。
しかし、ウイルスの場合、人間が80年くらいかけて終える一生を数時間で終えちゃうわけで、つまりは見ている間に進化していくわけです。
なので、同じ型であっても、それぞれ顔が違います。
同じ日本人でもみんな顔が違うようなもんですかね。
そうすると、同じH1N1というウイルスであっても、Aソ連型にきくワクチンでは効果がない、という事態が起こってきます。
前まできいていた薬がきかなくなるということも起こります。
ウイルスくんも生き残るために進化するからです。

しかし、現在のところ、病気そのものはかなり軽症です。
その分、元気な患者がウイルスを持って動きまわりますから、感染は拡大しやすくなります。
また、回復した人以外はまだ免疫を持っていませんから、当然冬に流行するインフルエンザよりもかかりやすいです。
完全に予防するなら無菌室にたてこもるしかないわけですが、そんなわけにはいかないでしょ?
では、なるべくウイルスを取り込まないようにするにはどうするか。

いちばんは手洗いです。
手でさわったところを中心に、ウイルスは拡がっていきます。
このウイルスが鼻や口から入って粘膜に入り込み、増殖をしだすとインフルエンザにかかるわけです。
ちなみに、ウイルスは自分だけでは増殖できません。
生きた細胞の中に入らないと生きていけないし、増殖も出来ません。
タミフルとかリレンザといった『治療薬』と呼ばれているのは、実はこのウイルスの増殖を抑える働きをする薬なので、本当は病気そのものを治療する薬ではありません。
とにかく手を洗うこと。
食事の前、トイレの後は当たり前(じゃない人も多いよね)。
顔にさわる前後に洗ってますか?
外から帰ったら洗ってますか?
どうしても洗えないときには、アルコールで消毒していただくのもOKです。
あ、ただし、インフルエンザ以外のウイルス(ノロとかね)の中にはアルコールでは死なないのもありますからご注意を。
あくまでインフルエンザに関しては、アルコールでOKです。
飲むお酒じゃダメですからね。

にばんめには『咳エチケット』。
咳やくしゃみが出るときには人から顔をそむける、マスクをつけてしぶきが飛ばないようにする、もしくはティッシュや服の袖で抑える、など、当たり前のエチケットです。
でも残念ながら、こんな簡単なマナーが守れない人が多すぎるんですね。
会社でもいませんか?これみよがしに『ぶえっくしょい!』とか大きなくしゃみを響き渡らせているしょーもない人。
こういう人はわかってて伝染病を撒き散らしているとして、罰則があってもいいくらいです。
あ、もちろんおさえたティッシュはすぐに密閉して捨てて、手も洗ってくださいね。

日本では宗教かと思うほどかたくなに信じられている「マスク」。
これは『予防』には効果がありません。
自分の身を守ろうと思ってマスクをかけるのは、ほとんど意味がありません。まあ、自己満足な安心感でしょうか。
(補足:マスクの予防効果には賛否両論あるのは承知しております。きっちり正しく使えば、効果が0ではないと思います。が、果たして医療現場以外の日常生活で、きっちり正しくマスクを使う人がどれだけあるか。ましてや、マスクで防ぐほどウイルスがいるところならば、マスク以外にも防護衣を着用して使い捨てなければ意味がありません。ウイルスの何十倍も大きな花粉ですら、マスクをかけながらくしゃみや鼻水が止まらない状態でしょう?ただ、現在の日本では、こういうことを言うと袋叩きにあう、というのが現実です。さすがにこんな小さなブログにまではやってこないと思いますが。)
N95と言われる、ウイルスを防ぐマスクも確かにありますが、これはきちんと自分にあうかどうかをテストしないといけません。しかも、じっとしていてもつけ続けるのは3時間が限度だと言われてます。動けば5分とも。
マスクはあくまでも症状のある人が、他にウイルスを撒き散らさないためにつけるものです。
まあ、つけること自体には害があるわけではないので否定はしませんが、昨今のマスク不足を見ていると、本当に必要な人にマスクがいきわたらないということも想定されるわけで、いい加減厚労省も「予防にはマスク」キャンペーンはやめていただきたいところです。
また、使い捨てが絶対条件ですから、はずすたびにきちんと新しいものに変えないと、かえって害になることもありえます。
CDC(アメリカ感染症センター)では予防にはマスクは使わないようにとまで言っているようです。
マスクが手に入らないとヒステリックになってる皆さま、冷静になりましょう。

うがいも、実はインフルエンザ自体の予防には効果は薄いです。
ウイルスは粘膜にとりついて10分ほどで細胞に入り込んでしまうので、うがいで予防しようと思ったら、最低10分おきにうがいをしてなくちゃならないことになります。
ただし、インフルエンザの合併症として起こしやすい肺炎の予防にはなりますので、まったくの無駄ではなさそうです。
これも、うがい薬は粘膜を痛めることがあるので、普通の水道水がいちばんいいそうです。

手洗いと咳エチケットで予防8割。
もしかかったら、99%以上の人はきちんと休んで、栄養と水分を十分にとっていれば自然に回復します。

ただし、慢性疾患のある人、妊娠中の人、免疫が低下している人、乳幼児は重症になる危険性があるので、症状が出たらすみやかにタミフルかリレンザを処方してもらって指示通りに服用しすること。
普段が健康な人なら、タミフルもリレンザも必要ありません。飲んでも治るのが1日か2日早くなるだけ。薬の無駄遣いです。WHOは不要な薬の投与は控えるようにアナウンスしています。これも、本当に必要な人に薬がいきわたらなくなってしまうからです。

お医者さんにかかりたかったら、まず最寄の発熱相談センターに電話で相談してください。

発熱相談センターについては
厚生労働省のホームページを参照のこと。http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html

絶対に直接医療機関には行かないこと
新型インフルエンザに限らず、人にうつる可能性がある場合は、まず電話で相談して、受診時間などの指示をもらいましょう。
お医者さんの方で、一般の診察の人と時間を分けたり、入り口を別にしたり、待合室を別にしたりすることがあるからです。

毎年冬に流行するインフルエンザでも、日本中で1千万人もの人がかかり、1万人もの人が亡くなっているのです。
現在、日本では一人も亡くなってはいません。
不必要に恐がる必要はないけれど、この際ですから、冬に流行するインフルエンザもはやらせないつもりで、徹底的に手洗いと咳エチケットを実行すればいいのです。
WHOが緊急声明を出した日、日本では老人施設で結核のために3名の高齢者が亡くなっています。
いちのせはそっちの方がよっぽど恐いと思いました。

日本は技術は世界でもトップレベルでありながら、感染症に関しては『輸出国』と言われるほど後進国です。
公衆衛生の根が張ってないっていうのかな?
治療は上手だけど、予防は無茶苦茶下手です。
ですからいまだに先進国と言われる国の中で唯一と言われるほど結核や麻しん(はしか)が多い。
正しく、効率よく、確実に「予防する」ということにお金も労力もかけたがりません。
そのくせ、神戸で感染者が確認された、と報道された途端にマスクを買い占めるわけですな。
で、マスクをしてない人をつるしあげたり、感染した学生のいる学校に嫌がらせをするなんて馬鹿なまねをする人まで出てくるに至っては・・・です。

感染症学会のワーキングチームが、緊急に提言を発表しました。
あまりのヒートアップに危機感を感じられたからです。
開業医さん向けなので、一般の人にはわからない言葉が出てくるかもしれませんが、一度読んでみてください。

http://www.kansensho.or.jp/

この『新型』と言われるインフルエンザも、2年後には季節性のインフルエンザになってしまうのです。
かからないにこしたことはないけれど、今回のインフルエンザは不必要に恐れなくてもいい。
ちゃんと治療も出来ます。
だから、かかった人を差別したりしてはいけません。

とはいえ、日本のお役所は「普段健康な人なら、かかっても家にいて寝てれば自然に治ります」ではすましちゃいけない、みたいな不文律があるのも事実です。
だから「マスクをしましょう」だの「早くみつけて早く治療を」とか言っとかないと、仕事をしてるように見えない。

幸い、いちのせの職場ではありがたいことに市長までが出席する幹部クラスの対策本部で、一保健師のいちのせに発言をさせてくださいます。
マスクに関しても、一部石頭なおじさんはいますが、ほとんどが『予防ではなく、撒き散らすのを防止するために必要なので、今から無駄遣いをしないでほしい』という意見に賛成してくださり、県内で発生もないことから、職員に一律にマスクの着用を強制することは今のところありません。
小さな市町村で取り組めるのは、とにかく手洗いと咳エチケットの普及だ、ということも理解してくださっています。
議会も同じく。先日議員さんへの説明会でもちゃんと意見をきいていただけました。
今までまったく無関心だった部署も、自分たちで対応できる取り組みを始めてくださっています。
大きな自治体ではなかなかこうはいかないと思いますが、やはり素人でもそれなりの勉強をして取り組めば、理解者は出来てくると感じているところです。
また、インターネットでいろいろな情報を集めるうちに、時々新聞などにコメントを求められるような専門家の先生にメールなどで相談にものっていただけるようになりました。

反動で寝込んだりもしましたが、うちの職場って実は底力のあるすごいところなのかも・・・とひしひしと実感しています。

チーム境港。

これは本当に自慢できることなんじゃないかな。うん。

こんなのもありますので、参考にしてみてください。

・米国CDC新型インフルエンザ情報(字幕付)
http://www.youtube.com/watch?v=LsMHCPUy5l4
・米国CDC:手洗い励行(字幕付)
http://www.youtube.com/watch?v=fsZoZr9J__M

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2009年5月 6日 (水)

みやぎ 漫画の力 漫画・アニメフェスティバル

みやぎ 漫画の力 漫画・アニメフェスティバル Official Sight
http://www.kahoku.co.jp/manga/festival/index.html

頑張ってるなぁ、宮城県。

何より、石ノ森章太郎さんを中心にして、漫画・アニメ全体に視野を広げているところがすばらしい。

これが石ノ森章太郎に固執していたら、いずれ尻すぼみにならざるをえないんですよ。

少し前の水木しげるロードがそうでした。

一部のマニアのみがリピーターになって、ほとんどの人が「一度行ったからいいや」になってしまう。

でも、漫画やアニメ全般に視野を広げてコンテンツを展開していけば、無限大。

必ず新しいお客さんを呼び、リピーターさんも層が厚くなっていくわけです。

こういうところは、境港市ももう少し考えてみてほしいな、と思うところです。

いちのせとしては、水木ロードには3つの視点があると思っています。

一つはもちろん「水木しげる」。

御大の作品世界を掘り下げていく視点。

二つ目は「妖怪」。

水木作品にこだわらず、民俗学的な視点から妖怪を掘り下げる視点。

三つ目は「漫画文化」。

やはり、水木先生が漫画という手法をとったからには、漫画を文化として掘り下げる視点も欲しいと思うんです。

水木先生にインスパイヤされたクリエイターさんにスポットライトを当てたり、支援したりする力がほしいと思います。

いちのせ的には、やはり自分が得意な、漫画文化を掘り下げる視点でかかわりを持ちたいな、と願っていますが。

現実にはまだまだ「水木しげる」のみに力が偏っていて、「妖怪」は中途半端。

もっとも「妖怪」に関してはゆっくりでも道が開く可能性はありそうです。

「漫画文化」もバカにせずに目を向けてほしいなぁ。

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新型インフルエンザ

ついに出てしまいました。

10年くらい前から、発生は予想されていて、でも過去の経験から鳥由来だと思われてきたんですよね。

で、最近世界中で発生している鳥インフルエンザはH5N1という、強毒性のウイルスなので、人間がこれに簡単にかかるようになったら、致死率がものすごく高いと思われていたわけです。

最悪、致死率20%とまで言われてました。

が、今回の豚由来のインフルエンザは、今のところどうやら季節性のインフルエンザと大差ないようです。

今のところ、というのは、インフルエンザウイルスは形をころころと変えていくので、ワクチンにしても同じH1N1ウイルスでも株が違えばききめがない、という事態がおこるのです。

で、形を変えていくうちに重症になる人が多くなるかもしれないし、軽くなるかもしれない。

もっと恐いのは、更に鳥インフルエンザも混じって、人にうつりやすく、重症になりやすいウイルスが出てくること。

過去の経験があんまり役に立たないのは、今回のことでよくわかりました。

鳥を警戒していたら、今回は豚。

海外で発生が確認されてから(フェーズ4)から、その感染が2つ以上の地域で感染する(フェーズ5)まで2~4週間とシュミレーションされていたはずですが、実際には2日。

本当にこれが強毒性だったら、映画のような悪夢が世界中でくりひろげられていたでしょう。

が、幸いにも今回のインフルエンザは症状も軽いようです。

だから、とにかく個人個人が責任を持ってインフルエンザの予防をすること。

具体的には

1)とにかく手を洗う。
普通の石鹸で十分なので、1日に何回でも洗う。外出から帰ったらすぐ洗う。
アルコールの手指消毒剤があれば、それをすりこんでおけばなおよい。

2)発熱があったり、咳やくしゃみが出るときには外出を控える。どうしても外出しなくてはならないときにはマスクをつける(咳エチケットの励行)。
ニュースなどで見ていると、鼻を出してたり、しゃべるときにはマスクをはずしちゃったりしてる人が多いのですが、これはいけません。
鼻と口を完全におおって、とにかくウイルスをまきちらさないことです。
マスクがなければ、ティッシュなどで口と鼻を押さえます。使ったティッシュはすぐに袋などに密封して捨てましょう。

3)発熱、咳、くしゃみなどのインフルエンザのような症状があるときには、すぐに医療機関に駆け込んではいけません。
海外から帰って10日以内の人は、最寄の保健所が「発熱相談センター」を開設していますので、まずそこに電話します。
電話番号は都道府県のホームページにのっているはずです。
そこで指示を受けてください。
海外から帰ったわけではない人は、新型ではない可能性が大きいので、かかりつけの医療機関にまず電話で相談してください。
これは季節性のインフルエンザを始めとする、感染症が疑われるときのマナーです。
一般の診察の人にうつさないように、受診時間などをずらしたりする指示が出るはずです。

今のところ、新型インフルエンザの治療にはタミフルなどもきくようですので、日本に入ってきたからといって、恐れる必要はないと思います。

毎年の季節性インフルエンザでもたくさんの方が亡くなりますし、それよりもたくさんの人が交通事故で亡くなっているのです。

あせらない。

うつらない。

ひろげない。

新型インフルエンザに限らず、大切なことです。

この際、季節性のインフルエンザの流行も押さえ込むつもりで、一人一人が感染予防をしっかりやってくださいませ。

・・・しかし、行政的には相談窓口やら、広報やらが必要なので、このゴールデン・ウイークは返上でした。

楽しみにしてたライブもすべてキャンセルです。

お仕事とはいえ、先がいつまでなのかまったく見通しがたたないので、ちょーっとしんどい。

プチうつがかなりよくなっていたんですが、どこかでぷちっと糸が切れるんじゃないかと、用心しています。

*****

お役に立つサイトをいくつかご紹介しておきますね。

厚生労働省や外務省のホームページも大切ですが、案外更新が遅いんですよ。

鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集
http://nxc.jp/tarunai/

新型インフルエンザ対策の達人
http://newinfluenza.blog62.fc2.com/

新型インフルエンザウォッチング・日記
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12

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